膵臓は胃の後ろにある長さが20cm程度の左右に伸びる細長い臓器です。右側・十二指腸に囲まれた部分を膵頭部、真ん中を膵体部、左側の脾臓に近い部分を膵尾部といいます。膵臓は、消化の助けになる膵液をつくり分泌する機能と、血糖値を調整するホルモンなどを分泌する機能の2つの機能を持ちます。
膵臓がんは、症状が出にくく早期の発見が難しいがんです。膵臓がんが進行すると、お腹・腰や背中の痛みや黄疸などが起こります。また、急な糖尿病の発症や悪化が見られることもあります。しかし、これらの症状は膵臓がんに特有なものでありません。
膵臓がんの治療は手術、薬物療法、放射線治療があります。切除ができる場合はできる限り手術をしますが手術のできる早期で見つかる膵臓がんは2割程度と言われており、生存率も良くありません。しかし、治療技術の発達、特に抗がん剤の進歩によって生存率は徐々に改善しています。2022年の4月から手術のできない局所進行膵癌が陽子線治療の保険適応となっています。
膵臓がんの陽子線治療
Point
・2022年4月から切除不能な局所進行膵癌の陽子線治療が保険適応になりました。
・陽子線治療は、X線治療よりも正常な臓器にあたる放射線の量を減らすことができます。
陽子線治療は通常のX線治療と比較して、正常な臓器に照射される放射線の量を減らすことができます。そのため、より副作用を少なくすることができる可能性がある安心な治療といえます。
治療の方法
膵臓は呼吸によって動く臓器であるため、患者さんの呼吸に合わせた照射をおこないます。
当てる陽子線の線量は周辺の正常な臓器の位置を考慮し決定しますが、
50~56 Gy(RBE)/25~28回
となります。