大腸は食べ物の通り道(消化管)の最後の部分です。右下腹部から始まり、小腸を囲むようにお腹の中を大きく時計回りに回って、肛門につながります。全長は1.5~2mほどで、結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S上結腸)と直腸に分かれます。大腸には栄養素の消化吸収の働きはほとんどなく、水分の吸収が主な働きとなります。

大腸がんは、腺腫という良性のポリープががん化して発生する場合と、正常な粘膜から直接発生する場合があります。食の欧米化などの理由から、日本での大腸がんの罹患数は増加傾向にあります。一方で、早期に発見ができれば比較的生存率の高いがんになります。

大腸がんの治療は、切除できる場合は内視鏡治療もしくは外科手術、切除できない場合は薬物療法を中心とした治療を行います。放射線治療は、症状を和らげることを目的とした緩和的治療や、手術前に補助的におこなう補助放射線治療に用いられています。

陽子線治療は、再切除することが困難な術後局所再発大腸がんの治療において保険適用となっています。

大腸がんの陽子線治療

Point

・2022年4月から、再切除が困難な術後局所再発大腸がんへの陽子線治療が保険適用となりました。

治療の方法

呼吸などによって動く場合は、動きに合わせた照射をおこないます。
陽子線の線量は、
・正常な消化管が近くにある場合:60~70 Gy(RBE)/30~35回
・正常な消化管が近くにない場合:72~75 Gy(RBE)/18~25回
となります。